8/16(月)にアメリカ国防総省(ペンタゴン)が「中国軍事動向に関する年次報告書(Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2010)」を発表しました。
この報告書は米議会に対して国防総省が毎年提出するものです。
報告書は3月に発表される予定でしたが、中国への配慮で延期が続いてました。
要旨
- 中国軍は東シナ海や南シナ海の懸案に対処するため、作戦行動範囲を拡大する新たな能力の獲得を目指している。
- 中国軍はインド洋や第2列島線を越える西太平洋にまで作戦行動を拡大する恐れがある
- 2010年中に中国の造船会社が中国初の国産空母の建造に着手する可能性がある。今後10年以内に複数の空母と支援艦を建造する意欲がある。
- 中台関係の改善にもかかわらず、中国の台湾に向けた軍事力は減っていない。
- 1100基の短距離弾道ミサイルを台湾海峡に配備
- 中距離弾道ミサイルを改造した対艦弾道ミサイルを開発中
- 中国軍は空中給油能力を備え、南シナ海の空軍の作戦が可能となった。
- 海南島に弾道ミサイル搭載可能な原子力潜水艦基地がほぼ完成し、南シナ海での隠密行動が可能となった。
- 中国の2009年の実際の国防関連費は1500億ドル(約12兆8000億円)以上と推計され、中国政府の発表値4728億元(約6兆9000億円)の約2倍である。透明性の欠如により、実際の支出の推計は難しい。
- ここ10年間の軍の近代化により、中国は軍事力を使って外交的に優位に立つ選択肢が増えた
第1列島線、第2列島線は中国軍部が打ち出した戦略上の概念で
第1列島線は九州、薩南諸島(屋久島・種子島)、奄美大島、沖縄本島、先島諸島(宮古、石垣、西表)、台湾、ルソン島、パラワン島、ボルネオ島を通るライン
第2列島線は伊豆諸島、小笠原諸島、北マリアナ諸島(グアム、サイパン)、ミクロネシア、パラオ、ニューギニア島を通るラインです
(報告書 p.23 の地図を和訳・補足 / 画像はクリックで拡大します)
報告書の全文は米国防総省のサイトで読めます。
Report: Military and Security Deployments Involving the People's Republic of China (pdf, 全83ページ)
http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2010_CMPR_Final.pdf
Report Says Chinese Military Transparency Still Lacking
http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=60456
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